2016年7月27日水曜日

日刊サンコラム23:特別区域について3-ダイアモンドヘッド編

前々回から特別区域(Special Districts)についてご紹介しております。
特別区域とは都市計画の一環です。

利用者にとって快適かつ便利な街並みを推奨したり、
歴史や文化を継承させたり、色やデザインについて制限をかけ、
街全体に統一感を出したりすることで街全体の価値をあげることを目的としています。

ハワイには8つの特別区域が制定されており、
今回はダイアモンドヘッド地区についてお話しさせていただきます。

ダイアモンドヘッド特別区域

ダイアモンドヘッド


ダイアモンドヘッドは、州及び国単位で文化遺産保護に指定されており、
1970年代からダイアモンドヘッドの景観を損なわないよう様々な制約が定められています。
ダイアモンドヘッド周辺は住宅地が広がっていますが、
公園のような雰囲気(park-like character)を全体として出していくことも目指しています。

景観保護


ダイアモンドヘッドの景観保護とは、
主要道路からダイアモンドヘッドが見えなくならないように規制されています。
1970年代に急速にワイキキ界隈が高層化し、カラカウア通りの海側にホテルが乱立し、
ダイアモンドヘッドがよく見えなくなったことが問題になり、規制がされるようになりました。
住宅においても出来る限り視界を妨げないよう、片流れ屋根や平屋根は禁止されており、
斜面と並行に屋根が流れるように設計することが義務付けられています。

公園のような美しい街並み


デザイン面では、美しい街並みにするため、
商業・工業的なイメージを彷彿させるようなものは禁止されています。

例えば、エアコンの室外機を見えるようなところに設置してはなりません。
大きな壁面も工業的なイメージを彷彿させるため、岩やタイル等のテクスチャーをつけるか、
細かく分割する必要があります。
また、建物の色にも規制があります。派手な色はもちろんのこと、
反射するような塗料・建材の使用は禁止されており、
落ち着いた茶色・緑色等のアースカラーで、街並み全体を統一することを目指しています。

日本の規制と比較すると、考えられないほどに厳しいものばかりですが、
住民一人一人の協力によって成し得た街並みであることを意識して、
ダイアモンドヘッド周辺を散歩してみるとまた印象が変わってくるかもしれませんね。

日刊サン 2016年3月30日掲載

2016年7月19日火曜日

日刊サンコラム22:特別区域について2-カカアコ編

先週から特別区域(Special Districts)についてご紹介しております。
特別区域とは都市計画の一環です。
利用者にとって快適かつ便利な街並みを推奨したり、歴史や文化を継承させたり、
色やデザインについて制限をかけ、街全体に統一感を出したりすることで、
街全体の価値をあげることを目的としています。

ハワイには8つの特別区域が制定されており、
今回はカカアコ地区についてお話しさせていただきます。

カカアコ特別区域

カカアコの高層ビル群

高層コンドミニアムが何十軒も開発されていることで最近何かと話題のカカアコ地区。
ラグジュアリーな新開発都市のイメージがあるかもしれませんが、
住宅(residential)・商業(commercial)・工業(industrial)地区が混在するおもしろいエリアです。

この区域での都市計画は、単純に高級住宅街にするのではなく、
これら3つの用途を個々に守りながら、またそれぞれを発展させたいという意図があります。
様々な用途をコンパクトな区域におさめることで、歩行者に優しい魅力的な街を目指しつつ、
美しい景観を保つために厳密な規制も多々設けられています。

例えば植栽についてですが、Punchbowl Streetではモンキーポッドという木を
最大80 feet(約80m)間隔ごとに植えなければならない等、
主要な道はすべて細かく指定されています。

エアコンの室外機や換気扇、駐車場等、あまり景観として美しくないものに関しては、
植栽もしくはルーバー(羽板)などで隠すことも義務付けられています。
ワイキキのように建築的デザインの制約はありませんが、
カカアコという街をみんなで使いやすく、また美しくしようという試みです。

LEED NDの認定


これらの特別区域にデベロッパーのThe Howard Hughes Corporation®も賛同してか、
60エーカー(24万平米)ものエリアを環境に優しい地区として、
LEED ND(Neighborhood Development)という認定制度の最も厳しいプラチナに申請しています。
便利で美しく、しかも環境に優しい街並みになれば、住民や近隣のビジネスはもちろん、
地価の向上により投資家にも多大な好影響が期待できるのではないでしょうか。

日刊サン 2016年3月16日掲載