2019年6月21日金曜日

日刊サンコラム56:建築許可にかかる所要時間について

建物を新築、増減築、改築する際に不可欠な過程であり、
かつ大きなネックとなりうる建築許可を取得するまでの所要時間についてご紹介します。
ホノルル市役所は深刻な人員不足に直面しており、
認可が下りるまでに非常に時間がかかってしまいます。

建築許可

まだお金が貯まっていないから1年貯めて来年から計画しよう…と考えていると、
完成するのは今から3年後ということにもなりかねません。
とても長いプロセスですので、予め知っておくと無駄な時間を過ごすことなく計画的に行動することができるでしょう。

新築か改築か、また商業施設かで大きく異なる


建築の規模でももちろん認可が下りるまでの所要時間は変わるのですが、
新築なのか改築(増減築)なのか、
また住宅なのか商業施設かでも大きく変わってきます。
まず最短は住宅の改築です。
時期にもよりますが、1~4ヶ月程度でおりる場合がほとんどです。
その間にコントラクターを探したり、冷蔵庫や洗濯機を探したりできるので、
期間的にもちょうど良い具合になります。

ただ、改築であっても商業施設の場合は別です。
役所内では住宅と別のルートを辿ることになるので、
特に何も問題がなかった場合で半年ぐらいは覚悟した方が良いです。

ちなみに、商業施設というのはレストランやリテール、オフィスはもちろんですが、
3軒以上の繋がった住宅も該当します。
よって、アパートやコンドミニアムの改築も含まれるということなので注意が必要です。

コンドミニアムも商業施設扱い


新築の場合、ホノルル市ではePlanというオンラインのシステムを利用しなければなりません。
紙面ベースではなくコンピュータを用いた許可申請プロセスのため、
そのシステムを利用できる役人が少ないのか、非常に時間がかかります。
こちらは今現在最低でも1年はかかると思っていただいた方が良いと思います。
そんなに待てないという方は、
Third Party Reviewerと呼ばれる民間の認可を受けた企業に別料金でレビューをしてもらい、
期間を短縮することができます。

Neighborhood、AOAOの認可も必要

コンドミニアムであれば、その管理者からの認可も必要となり、
認可がおりなければ着工することができません。
また、ワイキキやダイアモンドヘッド、チャイナタウンといったSpecial Design District内の物件では、
外観のデザインレビューが通常の建築許可に加えて行われるため、
通常よりも時間と手間がかかってしまいます。

建築許可が下りる前に工事をすることは可能*

ホノルル市もあまりに許可に時間がかかることは良く理解しており、
その打開策として許可が下りる前に工事をすることを認めています。
早めに工事を始めたければCourtesy inspectionというものを申請し、
認可されれば許可が下りずとも工事をし、
工事途中で行われなければならないInspection(検査)も受けることができます。  
*2019年1月よりこちらの制度についてはなくなってしまいました。
すべての工事において建築許可がおりてからでないと行うことはできません。

一般的な例を挙げましたが、建築は個々に大きくことなりますので、
具体的なことはきちんと建築士までご相談下さい。

日刊サンコラム56:建築許可にかかる所要時間について

2019年6月7日金曜日

日刊サンコラム55:エレベーターについて

今回は様々なエレベーターについてご紹介致します。
高齢化に伴い、バリアフリーの住宅をお考えの方も多いと思います。
また、大規模建築の計画の際にエレベーターは必須です。
一言にエレベーターと言っても種類があり、
それぞれ利点・欠点があるので選定には注意が必要です。

油圧式エレベーター(Hydraulic Elevator)


カハラモール駐車場のエレベーター

最も安価なエレベーターの種類です。
最下層にピストンを設置し、その部分に油を注入していくことで圧力を上げ、
油圧をもって貨物・人を上階に運ぶシステムです。
油圧を利用しているため、最高で8階程度までしか持ち上げることが難しいうえ、
速度も遅いことが大きな欠点です。
また、稀にその油が漏れてしまう事故が起き、
その際の清掃及び修理は大変ですが、
特に何もなければメンテナンスは非常に安価で済みます。

ただ、ランニングコスト(電気代)は他のものに比べて高いと言えるでしょう。
身近な例ですと、カハラモールの駐車場のエレベーターが
こちらのタイプを採用しています。

トラクション式エレベーター(Traction Elevator)

プリンスホテルのエレベーター

ロープで箱を吊るし、最上階上部に滑車・モーターを置き、
反対側には錘でバランスを保っています。
錘があることによって、少ないエネルギーで上下することが可能になっています。
また、滑車部分にギアを配備することで、
モーターの回転数以上に速度を出すことができ、
現段階で最も早く安定した運行をすることができます。

ただ、ロープや滑車の点検は定期的にする必要があり、
メンテナンスコストは高いですし、
イニシャルコストも油圧エレベーターに比べると高くなります。
超高層ビルの場合にはロープをカーボンファイバー製にすることで耐久性を増す等、
色々と工夫が施されています。

機械室がないエレベーター


油圧式エレベーターは最下階の下に、
逆にトラクション式は最上階の上に機械室が必要となります。
高さ制限がある場合や、地下を掘るのが困難な場合には採用が難しいでしょう。
そのような場合にはエレベーターシャフトの側部に機械室を設置できるタイプのものがあります。
トラクション式とイニシャル・ランニングコストは大して変わりませんが、
エネルギー効率はこちらの方が良い傾向があります。
移動スピードはギアのあるものに比べると劣りますが、
油圧式エレベーターの倍ぐらいの速度を出すことが可能です。
エレベーターシャフトの中にモーターが配置されるため、
建築基準法で危険と判断された経緯があり、その結果普及はあまりされていませんが、
今では安全に利用することができ、
中層ビル(250フィート程度)に設置することがお勧めです。

日刊サンコラム55:エレベーターについて