2017年3月29日水曜日

日刊サンコラム29:セットバックについて

日本の建築基準法では、道路斜線・日陰斜線と呼ばれるものがあり、
敷地ギリギリまで高い建物を建てることが制限されています。
なので、道路から離れるごとに段々と高くなる建物がとても多いのが特徴です。
今度日本へ訪れる際には少し気にしてみてみるとおもしろいかもしれません。

ハワイでも似たような制限があり、特に住宅地においては、
敷地いっぱいに建物を建設することは禁じられています。
それをセットバックと呼びます。
今回は主に住宅地で適用されるセットバックについてご紹介致します。

住宅地では必ずセットバックが必要

住宅地はResidential Zoningと呼ばれます。
この地域では、道路に面する場所では最低10 feet(約3m)
セットバックが必要となります。
その他の敷地境界線でも最低5 feet (約1.5m)のセットバックが必要となり、
敷地ギリギリに住宅を建設することは禁じられています。

また、高さ制限は最大25 feet(約7.6m)となっています。
下図では、太線で囲われている部分が建築可能なエリアとなっています。

Building Setback
建物のセットバックと高さ制限の図(立面)

図をご覧頂けるとわかる通り、上記以外にも傾きが1:2の斜線規制があるため、
特に二階建て住宅を建てる際には注意が必要です。

建築可能エリア外で認められているもの

住宅は、もちろん建築可能エリア内に収める必要がありますが、
はみ出すことが認められているものがいくつかあります。

例えば、フェンスや擁壁(Retaining Wall)は、
敷地境界線ギリギリに建設することが認められています。
ドライブウェイももちろん隣接している道路まで
延長されている必要があるため大丈夫です。
また、住宅の屋根も2.5 feet (約76cm)までであれば、
このエリアからはみ出すことが認められています。

上記以外にも住宅には述べ床面積の制限等、様々な制限がありますが、
それは次回以降ご紹介したいと思います。

また、住宅地以外のゾーニングでは
異なるセットバックのルールが適応されますので注意が必要です。
ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

日刊サン 2016年6月22日掲載

2017年3月1日水曜日

日刊サンコラム28:建築許可にかかる時間

建築工事をする際、事前に建築許可を得る必要があります。
今回はどのような時に建築許可が必要なのか、必要な費用、
かかる時間についてご紹介していきます。

建築許可が必要な工事とは


カーペットをフローリングにしたり、外壁や屋根の修繕をする時、
建物の補修や仕上げのやり直しだけであれば建築許可は必要ありません。
建築許可が必要になってくるのは、
上記以外のケースはほぼすべてといえるでしょう。

壁を新たに追加したり、解体する場合や外にデッキを建設する場合、
また外構にフェンスを建てるだけでも
ほとんどのケースで許可を申請しなければいけません。
それは建物の種類は問わず、あらゆる建築物に該当されます。
一戸建ての住宅はもちろん、レストラン等の商業施設、
アパートやコンドミニアムの一室の改築であっても
許可なく工事をすることは違法行為となるので注意が必要です。

申請方法・費用


建築許可を申請するには、建築士もしくは構造設計士が描いた
施行図面(Construction Drawings)が必要となります。

よって、何らかの工事をしたい場合には、
1.建築士を探す 
2.デザインをしてもらい、図面を揃える 
3.建築許可の申請 
4.申請している間に工務店を探して見積もりを出してもらう 
5.建築許可がおりれば工事着工 

といった流れが最も一般的になりますが、
上記以外の方法もありますので、興味のある方はお問い合わせ下さい。

また、建築許可の申請料は工費によって変動し、
プロジェクトの規模に比例します。
例えば、$100,000の工費ですと、申請料が$1,560で審査料$312となります。

申請にかかる時間


建築許可にはものすごく時間がかかります。
2016年6月現在で改築の申請をする場合に4~6ヶ月、
新築であれば9ヶ月以上かかっています。
よって、早め早めに計画を始めることがとても大切になります。

ただ、どうしても早く工事をしたい場合があると思います。
リース契約で許可を待っている間にも多額の家賃が発生してしまう場合や、
住宅であれば建つまでどこかで賃貸物件を借り続けなければならない等、
様々な事情があります。
そういった場合には、ホノルル市に直接申請するのではなく、
市に認められた第三者機関に依頼し、
早く許可を得ることも可能です。
$4,000以上もの余計な支出が増えてしまいますが、
大体1~2ヶ月程度で許可を得ることができるようになるので、
期間が短くなった分どれほど節約できるのか天秤にかけてみると良いでしょう。

日刊サン 2016年6月8日掲載