2017年2月15日水曜日

日刊サンコラム27:住宅の一部を賃貸する方法

近年のハワイにおける不動産の価値高騰には目を見張るものがあります。
ホノルルで売買されている一軒家のMedian(中央値)は$700,000を超えており、
地元の労働者階級にはとても購入することが難しい現状です。
住宅の不足及び価格高騰の対処として、
2015年9月に新しい法律が施行されました。
ACCESSORY DWELLING UNIT (ADU)というもので、
今回はその制度についてご紹介します。

住宅の一部を賃貸することができる


一軒家の離れや、ベッドルームとバスルームのみを
賃貸している広告などを見たことがありませんか?
丸々一軒家を賃貸しない限り、
実は、これらは去年まで法律で禁じられていました。

一軒家には、あくまで一家族が住むことが想定されており、
分割してその一部を収益目的で賃貸することはできませんでした。
今回施行された法律で、部分的に賃貸をすることが合法化されたため、
今までこっそりと貸していた人、これから副収入を得ようとする人、
また、安く賃貸住宅をかりようとするにはとてもメリットが大きいでしょう。

賃貸するにあたっての様々な規制


法整備されたということは、それに伴って様々な規制がしかれます。
まず一つに、その住宅には原則として所有者、
もしくはその血縁者が住んでいる必要があります。
よってすでに他人に貸している賃貸物件を
さらに分割して他の人に貸すといったことはできません。
例外として、所有者が予期せぬ苦難(例:難病にかかった)
にあったときのみ許されます。

また、所有者であれば、ADUとして制定された部分に自らが住み、
母屋を貸し出すこともできます。
子供たちが巣立った後、老後はADUでこじんまりと生活しつつ、
大きな副収入を得る方法も有意義かもしれません。
ただ、どのような賃貸でも良いわけではなく、
賃貸期間は6ヶ月以上と決められているので、
バケーションレンタル用には貸し出すことはできません。
その他、ゾーニングや最大面積、駐車スペースの規制がありますが、
この新しい法律の主な目的はホノルルの賃貸住宅の絶対数を増やすことが
目的となっていますので、ほとんどの一軒家で適用可能となります。

もし、ご興味がおありでしたらお気軽にお問い合わせ下さい。

日刊サン 2016年5月25日掲載



2017年2月9日木曜日

日刊サンコラム26:特別区域について6-パンチボール編

ここ数週間に渡り、特別区域(Special Districts)についてご紹介しております。
特別区域とは都市計画の一環です。
利用者にとって快適かつ便利な街並みを推奨したり、
歴史や文化を継承させたり、色やデザインについて制限をかけ、
街全体に統一感を出したりすることで街全体の価値をあげることを目的としています。

ハワイには8つの特別区域が制定されており、
今回はパンチボール地区についてお話しさせていただきます。

パンチボール特別区域

Punchbowl

行かれたことのある方も多いかと思いますが、
パンチボールは国立太平洋記念墓地として、
ホノルルの観光名所の一つです。

広大なクレーター内が国立墓地となっており、
第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、
ベトナム戦争などで戦死した3万人以上の兵士が安らか眠っています。
この特別区域は、今現在持っている特徴・雰囲気を維持することを目的としています。
自然溢れる近隣を守り、パンチボールからの景観、
またはパンチボールへの景観を損なうようなことを規制しています。

建物の向きや高さに対する制限


近隣の主要道路からパンチボールがよく見えるように、
また、パンチボールから遠くまで見晴らせるように、
建物が視界を遮らないよう配慮し、パンチボールを海側から見たときに、
その視線と平行な向きにする必要があります。(下図参照)


また、主要な道路からパンチボールがキレイに見えるように
建物の高さ制限も斜めにひかれています。
高台になっているProspect St沿いは40 feetの高さまでしか建てることができず、
それより下の方だともう少し高くまで建設することが許されています。


このように特定の景観を守るための高さ制限というのは、
実は非常に珍しいことなのです。
ただ、こちらの規制が発令したのは大分遅く、
すでにパンチボール付近には高層の建物が建ってしまっているのがとても残念ですね。
それらの既存の建物は当然取り壊すわけにはいかないので
現状維持を許されていますが、
今後同規模の建物に建て直すことは許可されません。

よって、建物の耐用年数が超える数十年後、
パンチボールの景観がどのように改善していくのか楽しみですね。

日刊サン 2016年5月11日掲載


2017年2月6日月曜日

日刊サンコラム25:特別区域について5-ハレイワ編

ここ数週間に渡り、特別区域(Special Districts)についてご紹介しております。
特別区域とは都市計画の一環です。
利用者にとって快適かつ便利な街並みを推奨したり、
歴史や文化を継承させたり、色やデザインについて制限をかけ、
街全体に統一感を出したりすることで街全体の価値をあげることを目的としています。

ハワイには8つの特別区域が制定されており、
今回はノースショアのハレイワ地区についてお話しさせていただきます。


ハレイワ特別区域


今ではオアフ島の主要な観光スポットの一つとなっているハレイワ地区ですが、
1800年代後半にプランテーションの街として
ハワイ史においても重要な役割を担っていた場所でもあります。
当時の景観を守るために、地域の建造物には高さ制限やデザインの指定など様々な規制があります。

ハレイワのお店



現状維持が原則


具体的な規制内容は色々と細かく分かれており複雑ですが、
根本的には出来る限り現状維持に努め、
新たな建物も既存のものと似たようなデザインにしようといったものです。

いくら地主が現代建築を建設したくても、実現することは不可能です。
ファサードデザインや建材、色、看板まで、
多岐に渡って既存の街並みから浮かないように規制されています。

また、ハレイワ地区はのどかな田舎であり、
そののどかさもまた重要な特徴の一つと捉えられているため、
過度な発展も望ましくないとされています。
その関係も含め、建ぺい率は低く、
高さ制限も30フィート(約9メートル)までと商業地区としてはかなり低く設定されています。
ただ、その甲斐あってかどの建物も小規模で可愛らしいデザインが魅力的で、
ノスタルジックな雰囲気の漂う人気観光地として維持し続けられるのだと思います。


最後に、
熊本地震の被害に遭われた被災地の皆様やご家族の方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、
犠牲になられた方々とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
一日も早い平穏な日々の訪れと被災地の復興・復旧を心よりお祈り申し上げます。

日刊サン 2016年4月27日掲載