2017年4月19日水曜日

日刊サンコラム32:建築トラブル回避の方法

最近「工務店に騙された!」とのご相談を受けたので、
そのようなことにならないよう今回は注意事項を書いていきたいと思います。

異国の地で大金を積んで工事を依頼するというのは、非常に怖いことだと思います。
また、風習や常識も異なるため、細心の注意が必要です。
工務店の免許を確認する等、簡単にできることも多いですが、
依頼主に落ち度があるために損をするケースが非常に多いので、
しっかりと勉強してから挑むか、詳しい専門家に相談をすることを強くお勧めします。

口頭で工事依頼をするリスク


ちょっとした工事や修復、リフォームは建築許可はいらない、
建築士を雇う必要はない、とよく耳にするかと思いますが、
厳密には$1,000以上の施工費がかかる場合には、
例外なくすべて建築許可が必要となります。

建築許可 - Building Permit


また、工務店の役割は、日本とは大きく異なります。
日本ですと、改築やリフォームをする際、工務店に相談をしに行き、
そこでデザインや材料の選定の打ち合わせをします。
きちんと図面にして、工事内容に納得した上で施工依頼をするという流れになります。

一方、米国の工務店は基本的に工事しかしません。
図面は引いてもらえないため、
直接工務店に駆け込むと口頭で工事内容を伝えることになります。
そして見積書にサインをし、工事着工となるわけですが、
口頭ですべてのことを伝えることは困難です。

例えば、シャワールームのタイルが古臭いから新しくしたい思い、
「タイルを張り替えてください」と伝えたとします。
一見それで十分そうですが、はたしてどこまで双方同じ考えを持っているでしょうか。
これでは、タイルの上から新たにタイルを張るのか、
タイルを取り除いた場合、痛んだ石膏ボードは張り替えるのか、
防水処理はどうするのか、どのようなタイルを張るのか等、
一見単純に思える作業でも、たくさんの決定事項があります

シャワーのタイル

実は、「工務店に騙された!」と相談をしにいらっしゃる方で
このようなケースはとても多いです。

最も大切なのは契約書


とても月並みですが、建築工事の場合、契約書というのはとても広義になります。
実は建築士の描く設計図というのは、施主と工務店の間の契約書として機能しています。
工事内容についてすべて自分で説明し、文書にしてから契約書を作成するか、
自信がなければきちんと建築士を雇い図面にしてもらう方が無難です。

建築工事はとても大きなお金が動きます。
コミュニケーション不足で工事をやり直すことになると、
2倍・3倍とお金がかかることは珍しくありませんので、十分に気をつけて下さい。

コラム32:建築トラブル回避の方法

2017年4月12日水曜日

日刊サンコラム31:住宅地における建ぺい率と容積率について

数週間に渡り、住宅を建設する際に、
セットバックや高さ制限があるということをご紹介してきました。
今回はその他に建蔽率(けんぺいりつ)、容積率というものについてご紹介致します。

住宅地では最大50%まで建設可能


建蔽率とは、所有している土地に対して建設可能な面積の割合のことです。
住宅地では敷地の総面積に対して50%まで住宅を建設することが許されています。
残りの50%は庭として保持することで建物が密集し、
息苦しい住宅街になることを防いでいます。
この割合についてはゾーニングによって定められており、
郊外や都心部においては異なりますので注意が必要です。

建設物と認識されるものとは


住宅の場合、壁に囲われている範囲は当然建設物として計算されます。
柱だけで支えられているカーポート等も同様です。
屋根については軒先30インチまで免除されます。
ハワイで最も一般的な軒先の長さは30インチのため、
特別に大きな屋根にしない限り、屋根は除外されるという認識で問題ありません。

その他、フェンスや擁壁(retaining wall)、ドライブウェイ、
屋根のないコンクリートデッキ等も建設物として計算されません。
また、二階部分だけ突き出していて、
地面部分は庭となっていたとしてもその範囲は建設物として認識されてしまいます。

通常の一軒家を建てる上では、
あまりこの制限がシビアに関係する場面は多くありませんが、
投資物件で土地面積をフル活用する場合や、土地がとても狭い場合、
また一つの敷地に二軒以上の住宅を計画する際には細心の注意が必要になります。

容積率はあまり気にしなくても良い


日本では、建蔽率と対になって容積率も重要視されます。
容積率とは、敷地に対して、どれだけの延床面積の建物が建てられるかを示すもので、
建蔽率同様、各ゾーニングごとに制限が定められています。

ハワイの住宅地においては、容積率の制限は特にありませんが、
延床面積の大きさによって必要な駐車場の数が変わってきます。
例えば延べ床面積が2,500 sf未満の建物については、
駐車スペースが最低1つ必要となり、それを超えると2つ以上なければなりません。
3,500 sf以上の場合には3つ以上と、大きさに準じて増えていきます。

ただし、序盤にもお話しましたが、これらはゾーニングごとに定められており、
郊外や都心部においては異なりますので、詳しいことはお気軽に直接ご相談下さい。

日刊サン記事
日刊サン 2016年7月27日掲載


2017年4月5日水曜日

日刊サンコラム30:斜面に住宅を建てる場合

先週、ハワイの住宅地ではセットバックというものがあり、
敷地いっぱいに建物を建設することは禁じられているという話をご紹介しました。
その他にも高さ制限があり、
最大25 feet (約7.6m)であるということをお伝えしました。

ただ、敷地が斜面の場合には少し事情が変わってきます。
斜面に住宅を建設すると、どうしても最高高さが高くなってしまい、
25 feetにおさめるのが難しくなってしまいます。
そのような状況に対処するために、ホノルル市では、
敷地が斜面のときに限り最大30 feet (約10m)まで認められています。

斜面では三階建て住宅も可能


最大30 feetまで認められているといっても、条件がいくつかあります。
基本的なセットバックは平地のときと同じで、
道路に面している側は敷地境界線から10 feet
その他は、5 feetのエリアは建設することはできません。
その他詳しいことは下図をご覧下さい。太線のところが建設可能エリアになります。


斜面における建物のセットバックと高さ制限の図(立面
この30 feetの制限を利用して、実は3階建ての住宅を建設することが可能です。
平地の25 feetの高さ制限では不可能ですが、
段々畑のようにずらしながら建設することで建設可能エリアにおさめることができます。

通常かなりの量の土を取り除いたり、
足したりする必要があるため、建設コストは割高になります。
ただ、ハワイにおいて斜面の敷地といいますと、山沿いがほとんどだと思います。
山から海を見下ろすような絶景が望める場合には、
上記のような建設方法をすることで、
各階から海が望めるようになり多少割高でも投資する価値は大いにあると思います。


ただ、敷地の広さや傾斜角度によっては難しい場合もありますので、
詳しくはお問い合わせ下さい。

日刊サン 2016年6月29日掲載