2020年6月24日水曜日

日刊サンコラム65:ハワイの住宅の気密性

日刊サンの編集の方に、なぜハワイの住宅は気密性が低いのかと質問を頂いたので、
この場をかりて私の考えを紹介させて頂きたいと思います。

昔はSingle Wall Constructionが大半を占めていた


1970年代までのハワイの住宅はSingle Wall Constructionという構法を
使ったものが大半だったので、今主流である2x4構法とは大きく異なります。

これは日本でいう在来軸組工法に近いもので、
柱で二階や屋根を支え、構造壁がありません。

壁で自重を支えていないため、
1インチに満たない薄い板一枚が柱と柱の間に張ってあるだけです。
外との間に一枚の板しかないため、
少しでも歪んでいるとすぐに隙間風が入ってきてしまいます。

1970年以前の建物となると、地盤が緩んできたりと
建物全体が歪んでいることがとても多いので、
まずはその歪みを直してあげる必要があります。

このような場合でも、家を建替えなくても直すことは可能ですので、
もしご自宅が傾いているかもしれないという方は
一度建築士にご相談されてみてはいかがでしょうか。

そもそも気密性は必要なのか


このような構法を採用してきた背景には、ハワイの気候が関係しています。
そもそも気密性というものを重要視していなかったのではないかと私は思います。

ハワイはとても気候が良く、年中暖かいです。風さえ吹いていて、
日陰に入ればとても快適に過ごすことができます。

木陰さえあれば快適なハワイ


つまり、木の下で十分快適なのです。
そもそもなぜ気密性を上げたいのかということを考えると、
外との温度差を保つためです。

外は寒いけど中は暖かく、外は暑いけど中は涼しくと、
冷房・暖房器具で人工的に室内の温度を調整して初めて気密性が生きてきます。

ところが、八ワイにおいてはそのような必要がなかったので、
あまり重要視されなかったのではないかと思います。

ただ最近では、きちんとした施工業者に依頼をすれば、
日本の建物のような気密性の高い建物を建てることは十分可能です。
気をつけなければならないのは、気密性があまりに高いと
シックハウス症候群になりやすいということです。
きちんと換気をする習慣をつけるか、
24時間自動で換気のできるシステムを設置することをお勧めします。

日刊サンコラム65:ハワイの住宅の気密性

2020年6月3日水曜日

日刊サンコラム64:コンドミニアムの改装について

最近コンドミニアムの改装の依頼を頂くことが多くなってきたため、
今回は簡単にその流れや注意点についてご紹介致します。

内装工事であっても諸認可を受ける必要がある


Fee Simpleでコンドミニアムの一室を買ったからといって
何をしても良いわけではありません

基本的にはコンドミニアムのアソシエーション(管理組合)に
工事内容を図面として提出をして承認してもらい、
ホノルル市へも建築許可を申請する必要があります。

アメリカでは、コンドミニアムは商業ビル扱いとなってしまい、
諸認可には建築士及び電気設計士、機械設計士による図面が必要となります。
工務店に相談する前に、まずは建築士と話し合うことを強くお勧めします。



諸認可が必要となる境界線


カーペットやフローリングといった床材をやり直す場合や、
壁の塗装といった仕上げのみの工事の場合には基本的に諸認可は必要ありません。
また、家具の入れ替えについても同様です。

ただ、電気工事や機械(水道・ガス)が含まれるような工事、
もしくは総工費が$1,000を超えるような場合には
アソシエーション及びホノルル市の認可を受けることが義務付けられています。



これは修繕の領域を超えるであろうという境界線で、
それほどの規模になればハンディーマンではなく、
きちんと免許を持った建築士及び工務店が責任を持って計画・工事を行うことにより、
不足な事故が起きないよう、また万が一起きてしまっても
きちんと保険でカバーできるようにする必要があるという考えです。

外観は変えられない


ほとんどのコンドミニアムが、外観を変えることに関してはとても厳しいです。
ラナイを閉じてしまい、部屋の一部にすることを認めているコンドミニアムは多数ありますが、
具体的にどのような窓枠でどういったデザインでなければならない、
といった細かい規則が定まっています。



また、エアコンについても同様です。
窓枠にはめるタイプのエアコン(Window Unit)や室外機をラナイに設置すると、
外から見える可能性があります。
これを規制しているコンドミニアムも多数ありますので、
きちんと管理組合の規則(House Rule)を参照することが大切です。

いずれも、日本での改装工事よりもかなり時間のかかるプロセスになりますので、
計画については出来るだけ早めに始めることをお勧めします。

日刊サンコラム64:コンドミニアムの改装について