2018年2月28日水曜日

日刊サンコラム42:天井について

空間の質を決定づける大きな要素の一つに天井があります。
基本的に、天井は人が触れることがなく強度も意識する必要がないため、
最も自由度が高い部分とも言えます。

通常、あまり意識することもないかもしれませんが、
工夫次第で、それほどコストもかけずに
空間の質を飛躍的に上げることができる部位でもあるのです。

天井は高ければ良いというものではない


天井を高くしようとするとその分コストはかかります
建材はもちろんですが、階高が高くなるので同じ高さの高層ビルでも、
天井高が8フィートと9フィートでは、
40階建てと35階建てと5階分も少なくなってしまいます。
その差の分だけ大きく収益が減ってしまうので、
「天井が高い=豪華」ともいえるでしょう。

天井が高いレストラン

最近のカカアコの超高級コンドミニアムも
階高が通常より1フィート高いものが増えています。
天井を高くすると、空間が広く見え、開放感が増しますね。
逆に8フィートよりも低いと圧迫感が強まり、不快になりがちです。

ただ、天井を高くしすぎると逆に緊張感が増すという興味深い点もあるのです。
例えば、高級ホテルのとても天井が高いロビーに入ったときに、
身の引き締まるような軽い緊張感を覚えた記憶はありませんか。
自然と、背筋も伸びてきちんと振舞おうという意識が働くものです。
しかし、一旦客室に入ると今度はぐっと天井高が低く、
居心地のよい落ち着いた空間が設けられているのです。

レストランでも、ドレスコードがあるようなキチッとしたお店は天井が高く、
アットホームな居酒屋は低めにすることで狙い通りの空間にすることが可能なのです。
最近、天井がオープンでダクト等が見えているようなレストラン・カフェが増えていますが、
天井を高くすればするだけ良いわけではなく、
どのようなイメージのお店にしたいのかを意識するととても良いと思います。

様々な天井高があり、多様性をもたせている(カピオラニのDoraku)

一軒家の場合にも、お客さんが来るようなリビングは天井高を高くして開放感がある空間にし、
家族だけでまったりと過ごすようなファミリールームや寝室は
ぐっと低くするととても快適な家造りができるのではないでしょうか。

次回は、高さ以外の天井の役割についてご紹介したいと思います。

2018年2月14日水曜日

日刊サンコラム41:ハワイの温水システムの注意点

日本とハワイの家で最も顕著な違いは、温水システムではないでしょうか。
日本はタンクレスのガス瞬間湯沸器が大半を占めていますが、
ハワイでは大きなタンクに貯水をして、
電気で温めるウォーターヒーターが利用されているケースがほとんどです。

水を温めるという目的は同じものの、そのシステムの違いや使用方法により、
間取りも注意しなければなりません。

タンクの容量分しか一度に温水を使えない


日本のガス瞬間湯沸器の場合には、使うたびに使う分だけ水を温めているため、
制限なく利用することができます。

ガス瞬間湯沸器


タンク式温水器の場合には水を溜めて温まるまで時間を要するため、
一度にタンク内の温水をすべて使ってしまうと、その後は冷水しか出ません。

ウォーターヒーター


お風呂にお湯を溜めたりして、
止めるのを忘れたりするとすぐになくなってしまうので注意が必要です。
また、食器洗いやシャワー、洗濯機を同時に利用してもすぐになくなってしまうので、
タイミングを見計らう必要が出て少し不便です。

タンクから遠いと温水が出るまで時間がかかる


一般的にタンクは一軒に一つしかありません。
タンクは結構場所をとるので駐車場や裏庭に配置されがちですが、
タンクからの距離が遠いと当然ですが、温水が出るまでに時間を要してしまいます
一般的な大きさの一軒家であっても、水周りとタンクが離れている場合、
温水が出るまでに1分以上要することはよくあります。
その間、冷水を流しっぱなしにしなければならず、とてももったいないです。
毎日のことですので、上下水道代も心配ですよね。
最初に配置する際に少し工夫して、水周りをまとめ、
その中心位置付近にタンクを配置するか、タンクを二つ配置することをお勧めします。

太陽熱温水器で電気代節約


太陽熱温水器

新築住宅であれば、必ず設置が義務付けられていますが、
既存の住宅でも太陽熱温水器を設置すれば、飛躍的に電気代を節約できます。
タンク内の水を屋根まで循環させ、太陽熱で水を温め、
気温が低い場合や太陽が出ていない時に補助的に電気で温めます。
試しに電気を止めて実験してみたことがありますが、
シャワーや食器洗い等では全く問題ないほど水が温まります。

日本仕様にすることも可能


それほど出回ってはいませんが、ハワイでも瞬間湯沸器を設置し、
ガスか電気で温めることが可能です。
ガスは二酸化炭素が発生してしまうため、
必ず設置箇所には換気が必要な点だけはご注意下さい。
また、瞬間湯沸器であっても、設置箇所から離れた場所では、
温水が出るまでに時間を要してしまうため、
上記の内容を総括的に考える必要があるでしょう。