2019年4月25日木曜日

日刊サンコラム54:用途変更をする場合の注意点

先日不動産屋さんから用途変更に関する質問を頂いたので、
主な注意点についてご紹介致します。

その土地を所有しているからといって自由に用途を変更できるわけではなく
様々な視点から変更できるか確認しなくてはならないため十分な注意が必要です。

ゾーニングが認めているかどうか


まずはその土地のゾーニングが何かを調べることから始まります。
住宅地はかなり用途が限られてきますが、
カカアコやワイキキといったMix Useのゾーニングであれば様々な業種に変更することができます。
これは大きく分けて、申請なしで認めている場合要認可の場合認めれられない場合の3種類に分けられます。

建物のオーナー、管理組合が許可しているかどうか

コンドミニアム1階にあるレストラン

オフィスやコンドミニアム等、建物の中の一部を用途変更することはもちろん可能です。
例えば1階のリテールをレストランにするといったことです。
建物の決まりとして認めていないのであればそれを曲げるのは難しいでしょう。
月例ミーティングでプレゼンテーションをして、
その場で多数決をとり認めるかどうかを決める建物が大多数です。

建築的に可能かどうか


特にレストランに変更する場合には細心の注意が必要です。
換気ダクトやグリーストラップ(油水分離阻集器)を新設しなければならず、
そのスペースがあるかどうかが肝になってきます。
また、営業するにあたって隣接するトイレが必要な場合も多く、
上水下水が近くまできていない場合にはかなり大規模な工事を要され、
実質不可能になる場合があるので注意が必要です。

駐車場の数は足りているか


用途によって要求される駐車場の数は変わってきます。
例えば居住目的の場合には、600sqftまでの広さに対して駐車場が1つ必要ですが、
デイケアの場合には350sqftにつき1つ必要です。
これは個々のテナントにいくつ駐車場がついているかではなく、
建物全体の必要数に対し同敷地内にいくつ駐車場があるのかという計算になるため、
同じ建物内で貸し出している駐車場を月極で契約をして使える駐車場を増やしたとしても問題解決にはなりません。

その他にも異なる用途同士を遮る壁は防火壁でなければならない等の細かな決まりがいくつもありますので、
用途変更する前提で不動産を契約される際には決める前に一度建築士に相談されることをお勧めします。

日刊サンコラム54:用途変更をする場合の注意点

2019年4月11日木曜日

日刊サンコラム53:歴史的建造物として自宅を登録

日本と比べると、ハワイは古い建物がとても多いと感じる方は多いのではないでしょうか。
実際、築50年以上の建物も多く、一軒家やコンドミニアム、
商業施設と多種多様の古い建物が街中に存在しています。
その背景としては、根底に不動産の査定方法があります。

日本では、築年数で建物の価値が自動的に下がってしまいますが、
ハワイではきちんとメンテナンスされていれば下がるどころか、
どんどん値段が上がっていきます。
そのため、建物を大切に使い、また積極的に改修工事を行う傾向があります。

その結果、古い建物が取り壊されることなく、多数が健在する街並みが見られるのです。モノを大切に使うというのはサスティナビリティの基本であり、とても素晴らしいことです。

築50年から歴史的建造物扱い


ホノルル市の規定によると築50年以上の建築物は歴史的建造物という扱いになり、
改築・増築時に専門の部署に許可申請をする必要があります。
これには、歴史的価値のある建物を保護する目的があるのです。
特に改築を妨げるような働きをする部署ではなく、
無自覚に歴史的価値のあるものを壊さないようにすることを目的としています。

Historic Siteに登録

イオラニ宮殿

もし、ご自身がお持ちの建物が歴史的に価値があるものであれば
National Registerに登録をすることができます。
建物のデザインや構法が昔のものであるとか、
昔のコミュニティーの様子を表している等、明確なものからとても曖昧なものまで幅広くあります。

例えば、街並みでいえばハレイワの建物群といったものや、
個別の建物であればイオラニ宮殿が代表的かと思いますが、
その他にもマノアの一軒家等、一見それほど特徴がなさそうなものまで登録されています。

もし登録をすると、固定資産税(Property Tax)がほぼなくなる(数十ドル程度)という大きなメリットがあります。
また、現状を維持するための修繕に助成金が出やすかったりします。
デメリットとしては改築や増築が少し面倒かもしれないということです。
改築をする際に再度審査を受け、登録解除となるのか否か等の協議を行う必要がありますが、
登録したからといって今後改築できないわけではないので、
もし適合する可能性があれば是非挑戦してみてはいかがでしょうか。

日刊サンコラム53:歴史的建造物として自宅を登録