2019年1月31日木曜日

日刊サンコラム48:建築の用途変更について2

先週は、建物の用途変更についてご紹介しました。
ゾーニングによって希望の建築用途に変更できるのかが決まっており、
変更する際にも特に申請が必要がない場合と申請を要する場合があります。
申請をするには指定の書類を提出するとともに、近隣への説明会を開く必要があります。

つい先日、私が今請け負っているプロジェクトの許可申請のために
プレゼンテーションをする機会があったのでその経験をもとに紹介させて頂きます。

住民は近隣のことに強い関心を持っている


どの住宅街にもNeighborhood Boardといった
日本でいう町内会のようなものがあります。
そこでは近隣住民が毎月1回程度集まり、近所のトラブルや問題点、
また改善案等を提案、議論します。

警察官や消防隊員が訪れ、毎月のレポートを発表したりと、
かなり本格的な話し合いが行われています。

また、議事録がとられるだけでなく、その様子が地元テレビで放送されたりもします。

東京等の大都市と比べると、ハワイの人々は近隣のことに関して非常に強い関心を持っていると思います。
毎日の利便性の向上や公害の予防はもちろんですが、
みんなで良い住宅街にしていこうといった考えが強くあるように感じました。

近隣説明会で発表しているときの様子

騒音・渋滞に関しては敏感


オアフ島中ほぼどこでも言えることですが、渋滞の問題は深刻です。
特に、朝の通勤ラッシュ時の交通の妨げになるような提案は、
やはり厳しく批判されます。

また、住宅街に近いところでバーやレストランを開く際には、
騒音問題も関係してきます。

家のすぐ近くで毎晩大音量の音楽を流されたらたまったもんじゃありません。
出来てから苦情を入れてももう遅い場合がほとんどです。
計画時に必ず説明会が開かれるので、
特に持ち家の方は参加されてみてはいかがでしょうか。

また、事業主の方は申請をする際に騒音渋滞を出来る限り抑える工夫を予めしておくと、
住民の方々の賛同を得やすいと言えるでしょう。

日刊サンコラム48:建築の用途変更について2

2019年1月17日木曜日

日刊サンコラム47:建築の用途変更について


今回は建物の用途変更についてご紹介します。
建物には、当然ですが、すべて用途が定められています
住宅やレストラン、リテール、オフィスといった具合です。

例えば、ホテルであればお客さんが寝泊まりする客室や、
レストラン、倉庫、オフィス等の複数の用途が一つの敷地に混在している場合もあります。

今回はそれらの用途の変更をする際の注意点及び手順について簡単にご紹介出来ればと思います。


ゾーニングによって、可能・不可能・要申請が定められている

ホノルルのゾーニングマップ


場所によっては希望する用途に変更できない場合があります。
例えば、住宅街の真ん中にレストランやバーがないのもそのためです。
また、ワイキキの真ん中にはたくさんのレストランがありますが、
これは逆に認可を申請する必要もなく容認されています。その中間の曖昧なところ、
もしくは近隣の環境に多大に影響を与える可能性がある場合では申請が必要になってきます。

申請には大小二種類ある


用途変更の申請には二種類あり、MajorMinorで分けられています。

Minorについては法規上明確に認可されているものに限り、
比較的簡単な手続きで2~3ヵ月の間に認可がおります。
ホノルル市の役人が認可を出し、近隣には通達をするだけに留まります。

ただし、Majorになると近隣のミーティング及びヒアリングが必要となり、
いかに用途変更が近隣に悪影響を与えないか、
むしろ環境向上に繋がることを説得できなければなりません。
とても時間と労力のかかるプロセスだといえます。

ただし、もし認可がおりれば、その一帯の地域で唯一の用途の建物になれる場合もあるため、
市場を独占できる可能性を秘めています。

申請に必要な書類


申請に必要な書類は二種類共に変わりありません。
アプリケーションフォーム、概要説明書、
近隣環境に与える影響についてまとめた書類、敷地写真と設計図面一式が必要です。

建築許可等のその他の付随する認可については、
用途変更が認定されてからようやく申請ができるようになります。
まずは、建築士に希望の土地で希望の用途に変更できるのかを調査してもらうことをお勧めします。

日刊サンコラム47:建築の用途変更について

2019年1月9日水曜日

日刊サンコラム46:様々な窓の種類について

今回は様々な窓の種類についてご紹介したいと思います。
窓には、見た目のデザイン性だけでなく、様々な機能や目的があります。

大きく分類すると、

1.太陽光を室内に取り入れること 
2.室内の空気を換気すること 
3.窓の外の景色を眺められるようにすること 


の三つでしょうか。
それぞれの窓で何をしたいのかを的確に考えることで最適な窓選びができます。

採光を重視したい場合


とにかく部屋を明るくしたいのであれば、天窓が最適です。
壁に設置する通常の窓に比べて、天窓は比べ物にならないほどに室内を明るくします。
天窓にも換気が出来るものから、
直径4インチほどの小さなチューブ状のものまで様々なものがあります。

天窓(はめ殺し)

チューブライト

注意点は、他の窓に比べてコストが高いことと、水漏れの心配があることです。
経年劣化に加え、通常の屋根と比べると設置に使用される部品も多いため、
その分水漏れのリスクも高いのです。
天窓以外で採光を重視するならば、単純に大きなサイズの窓を設置する、
はめ殺し窓(Picture)も良いでしょう。

換気を効率的にしたい場合


ハワイにおいて効率的に室内換気をすることは、
住環境を向上する上で大きな鍵となります。
ただし、ハワイは雨が多いのもまた事実です。
窓を開けっぱなしであることを忘れて、
室内がびしょびしょにならないように最初から窓の種類を考えることも大切です。

例えば、突出窓(Awning)は窓を開けたときに庇のようになるため、
横殴りの雨でない限りは室内に水が入ってくることはありません

Awning Window

また、空気の流れも考えてあげるととても効率が上がります。
室内に二つ以上窓を設置することで、風の入り口と出口を確保することができます。
できれば、複数の窓は対面もしくは対角線上に設置するとより効果があがります。

もう少しこだわると、空気というのは冷たいと下に、
暖かいと上にいくという傾向を念頭に置くと良いでしょう。
外から取り入れる涼しい空気は出来るだけ下の方からAwning窓で取り入れ、
室内の温まった空気は上の方で内倒し窓(Hopper)で出してあげるとさらに効率的になります。

その他の目的


実は、法規でも窓については細かく規定がされています。
部屋の面積につき最低10%の面積の大きさの採光ができる窓を設置する必要があります。
また、最低5%の開口部が必要になります。

自然光が室内に入らなかったり、
換気ができないと身体的・精神的に悪影響があるとの研究結果が多数出ており、
そのような粗悪な住環境を防ぎ、
私たちの健やかな生活を守るために法律として定められているのです。

また、寝室のみ、緊急時における脱出可能な窓の設置も義務付けられています。
よって、寝室には大きめの開き窓(Casement)や
引き違い窓(Sliding)等の出入りができるような窓を
設置する必要があることも知っておくと便利ですね。



日刊サンコラム46:様々な窓の種類について