先週は施主と建築士及び工務店(コントラクター)の間で
契約書が交わされていない場合どうなるのかというお話をしました。
その場合には建築業界における一般常識が適用されるのですが、
その常識は何から構成されるのかというと、
AIA(アメリカ建築家協会)が作成した契約書だと言えるでしょう。
これは最も多く利用されている契約書であるため、
業界における慣習となりつつあります。
今回は二週に渡ってそのAIAの契約書の一部についてご紹介致します。
今週は施主と工務店の間で結ぶ契約書についてです。
AIA A201:工務店と結ぶ契約書の約款
工務店との契約書には、工事の規模及び建物の用途等によって
様々な種類のものがありますが、
AIAのものにはすべてA201の約款が採用されています。
この約款だけでも16章にもおよび、かなり長いですが、
抜粋して特徴的な内容のみご紹介いたします。
施主の責任について
施主の責任は大まかに3つあります。
1.工費の支払いを滞りなくすること
2.意思決定をすること
3.敷地の情報を開示すること。
1、2については説明する必要もないと思います。
3つ目の敷地の情報について注目してみましょう。
敷地は施主の所有物であり、施主が最もよく知っているハズといった考え方です。
敷地の測量及び調査については、
別途、施主(もしくは施主に雇われた測量士)が行う必要があります。
敷地が斜面になっていたり、土壌の状態があまりよくないことが予想される場合には、
きちんと調査することを強くお勧めします。
建物の保障について
一般的な家電や車と同じで、建物にも完成後保障がついてきます。
建材については、図面に明記されていない限り、必ず新品を使用します。
新品でない、もしくは正しく機能していない部分があれば、
無償で直す義務が工務店にはあります。
また、図面及び仕様書の通りにきちんと施工されていない場合、
完成後1年間は工務店が無償にて直すという旨が契約書には記載されています。
建材によってはメーカが保障期間を設けているものがありますが、
それはまた別途保障されます。
建築図面というののは、実は工務店との間の契約書の一部でもあり、
その通りに建っていなければ、それは工務店の責任となります。
(注:筆者は弁護士ではなく建築士であり、
また法的な話はケースバイケースのことが多いので、
詳しくは建築を専門とする弁護士にご相談下さい)
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