2017年2月9日木曜日

日刊サンコラム26:特別区域について6-パンチボール編

ここ数週間に渡り、特別区域(Special Districts)についてご紹介しております。
特別区域とは都市計画の一環です。
利用者にとって快適かつ便利な街並みを推奨したり、
歴史や文化を継承させたり、色やデザインについて制限をかけ、
街全体に統一感を出したりすることで街全体の価値をあげることを目的としています。

ハワイには8つの特別区域が制定されており、
今回はパンチボール地区についてお話しさせていただきます。

パンチボール特別区域

Punchbowl

行かれたことのある方も多いかと思いますが、
パンチボールは国立太平洋記念墓地として、
ホノルルの観光名所の一つです。

広大なクレーター内が国立墓地となっており、
第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、
ベトナム戦争などで戦死した3万人以上の兵士が安らか眠っています。
この特別区域は、今現在持っている特徴・雰囲気を維持することを目的としています。
自然溢れる近隣を守り、パンチボールからの景観、
またはパンチボールへの景観を損なうようなことを規制しています。

建物の向きや高さに対する制限


近隣の主要道路からパンチボールがよく見えるように、
また、パンチボールから遠くまで見晴らせるように、
建物が視界を遮らないよう配慮し、パンチボールを海側から見たときに、
その視線と平行な向きにする必要があります。(下図参照)


また、主要な道路からパンチボールがキレイに見えるように
建物の高さ制限も斜めにひかれています。
高台になっているProspect St沿いは40 feetの高さまでしか建てることができず、
それより下の方だともう少し高くまで建設することが許されています。


このように特定の景観を守るための高さ制限というのは、
実は非常に珍しいことなのです。
ただ、こちらの規制が発令したのは大分遅く、
すでにパンチボール付近には高層の建物が建ってしまっているのがとても残念ですね。
それらの既存の建物は当然取り壊すわけにはいかないので
現状維持を許されていますが、
今後同規模の建物に建て直すことは許可されません。

よって、建物の耐用年数が超える数十年後、
パンチボールの景観がどのように改善していくのか楽しみですね。

日刊サン 2016年5月11日掲載


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