2017年11月30日木曜日

日刊サンコラム39:バリアフリーについて2

先週は商業施設のバリアフリーについてご紹介しました。
米国は裁判大国であることも関係して非常に厳しく制定されています。
バリアフリーでなければならないという法律はありませんが、
万人が差別なくサービスを受けることができなければならないという決まりはありますので、
実質法律で定められているようなものですね。

一般住宅については、個人の自由となり何ら決まりはありません。
今回は、バリアフリーの住宅を建てる(改築する)際に
注意した方が良い点をいくつかごご紹介します。

最も大変なのは段差


バリアフリーの住宅に改築・新築する際に最もコストがかかるのがスロープです。
特に50年ほど前の住宅は、高床式住宅であることが多く、玄関前に階段があります。
それをなくしてスロープにするにはかなりのスペースが必要とされます。
車椅子で自走できる勾配は最大1:12と言われており、
1インチの段差を上がるのに1フィートの距離が必要になるということです。
24インチ玄関が高くなっていると24フィートと、
かなりの面積が必要だとお分かり頂けるでしょう。
もし、どうしてもスペースがとれない場合にはエレベーターを設置することも可能です。

開口部及び周辺を広げる


通常のドア、特にトイレのドアなどはとても狭いことが多いですね。
しかし、車椅子で利用するには最低でも32インチ、
出来れば36インチの開口を推奨します。
毎日通る場所ですから、頻繁に壁にぶつかっていてはストレスになるかもしれません。
また、計画時に忘れがちなのがドア周辺です。
開き戸の場合、取っ手側に逃げるスペースがないと、
ドアが車椅子にぶつかってしまい開けることができません(下図の左)。
少しスペースを設けるだけで
車椅子の利用者が心地よく行動できるスペースが増えるので工夫をしてみましょう。
ドア周辺に必要なクリアランス


シャワー・バスタブは専用品がある


お風呂については、どの程度自力で動くことができるのかにより大きく変わってきます
捕まる場所があればシャワーを浴びることが可能な方ならば、
手すりのみを設置できます。
誰かに身体を洗ってもらう等、さらなる機能性が必要であれば、
ドアがついていて段差をこえなくても入れるバスタブや、
段差のないベンチ付シャワーなどにすることも出来ます。
そういったところを工夫することで、介護者の負担も飛躍的に軽減することができます。

日刊サンコラム39:バリアフリーについて2 2016年11月23日掲載

2017年11月20日月曜日

日刊サンコラム38:バリアフリーについて

近年、日本でもバリアフリー住宅や、バリアフリーな公共施設が増えつつありますが、
米国は裁判大国であることも関係して非常に厳しく制定されています。
バリアフリーでなければならないという法律はありませんが、
万人が差別なくサービスを受けることができなければならないという決まりはありますので、
実質法律で定められていると言っても過言ではありません。

商業・公共施設は障がい者の方も同様のサービスを受けられるべき


一般住宅においては、個人の所有物ですし当然義務化はされていません。
ご家族に車椅子を利用される方がいらっしゃれば
当然バリアフリーにした方が便利ですが、
しなければならないという決まりはありません。

ところが、商業・公共施設においては、すべてバリアフリーにする必要があります。
「同じサービスを受けることができない」=「障がい者を差別している」と見なされてしまいます。
訴訟リスクが高いので軽視せずに必ず遵守するようにしましょう。

すべてをバリアフリーにする必要はない


時々勘違いされることも多いのですが、
すべての空間をバリアフリーにする必要はありません。
同等なサービスを受けられれば良いので、
例えばレストランであれば一部車椅子で座れるようにすればよいのです。
二階建てのレストランでも、1階でも同じメニューで食べることができれば、
エレベーターやスロープを設置する必要はありません。

ホテルとなると、様々な部屋があるので少しややこしくなります。
海が見える部屋があれば、同様にバリアフリーでも用意する必要があります。
スイートルームを含むその他の部屋も同様に、
一般の部屋と同様バリアフリーの部屋も
それぞれ一部屋ずつは用意しなければなりません。

ADAの問題点


バリアフリーは米国ではADA(Americans with Disabilities Act)の規定に従います。
この規定に従うと車椅子利用の方にはとっても便利な空間になりますが、
例えば耳や目等が不自由な方への対応はまだまだ不完全と言えます。
より充実させることでどんな人でも快適に暮らせる街になっていくと良いですね。

日刊サンコラム38:バリアフリーについて  2016年11月17日掲載

2017年11月10日金曜日

日刊サンコラム37:様々な床仕上げについて

今回は主要な床の仕上げについて紹介したいと思います。
床材は毎日触れるので足触りの感触はもちろんのこと、
見た目やメンテナンスのしやすさ、価格、耐久性のどれも大切です。

セラミックタイル

セラミックタイル

丈夫で掃除もしやすいのがセラミックです。
もし、欠けたり割れたりしてしまったとしても、部分的に交換もできます。
ただ、とても硬いので素足で長時間立っていると足が痛くなりますし、
また見た目も冷たい印象を与えるので、
リビング等にはあまり向いていないかもしれませんね。

ハードウッド

ハードウッド

本物の木のフローリングです。
きちんとメンテナンスをしていれば100年以上ももちます
また、汚れたり、傷がついたりしても、
上層部を削りまた美しい表面を取り戻すことができます。
コストはかなり高い部類に入りますが、
感触や見た目共に万人に好かれる仕上げだと言えるでしょう。

カーペット

カーペット

ハワイにお住まいの方は最もなじみ深いかもしれません。
暖かみのある雰囲気が利点ですが、他の床材に比べて汚れやすく、
一旦汚れるとキレイにするのが困難です。
ただ、意外と知られていないのですが、
カーペットは断熱材の役割を果たす上に、吸音材にもなります。
あまり声が反響してほしくないところに敷くと良いでしょう。
さらにチリやホコリを吸着するので、他の床材に比べ空気がキレイになります。

ビニール(Vinyl)

ビニール

最も施工がしやすく、かつ安価な床材です。
こちらもハワイで使われることが非常に多いと思います。
とても丈夫で掃除もしやすく、耐水性もあります。
また、様々な色やデザインがあり、ハードウッドそっくりなものや、
タイルのようになっているものもあります。
ただ、唯一の欠点は接着剤等に揮発性有機化合物(VOC)が含まれていることがあったり、
製造過程や廃棄後の処理が環境によくありません。

以上の他に石や竹等、様々な床材があります。
また、ハードウッドと一言で言いましても、
純粋な木から出来ているものや、
Engineered Woodと呼ばれる複数の木の層を重ねて作っているもの、
Floating Woodと呼ばれる木のような材質をしているものの
全く異なる材料でつくっているもの等、多種に及びます。

とても大事な部分ですので、選ぶ際には色はもちろんのこと、
感触も含めて実物を一度見てお選びになることをお勧めします。

日刊サンコラム37:様々な床仕上げについて 2016年11月10日掲載