2017年4月5日水曜日

日刊サンコラム30:斜面に住宅を建てる場合

先週、ハワイの住宅地ではセットバックというものがあり、
敷地いっぱいに建物を建設することは禁じられているという話をご紹介しました。
その他にも高さ制限があり、
最大25 feet (約7.6m)であるということをお伝えしました。

ただ、敷地が斜面の場合には少し事情が変わってきます。
斜面に住宅を建設すると、どうしても最高高さが高くなってしまい、
25 feetにおさめるのが難しくなってしまいます。
そのような状況に対処するために、ホノルル市では、
敷地が斜面のときに限り最大30 feet (約10m)まで認められています。

斜面では三階建て住宅も可能


最大30 feetまで認められているといっても、条件がいくつかあります。
基本的なセットバックは平地のときと同じで、
道路に面している側は敷地境界線から10 feet、
その他は、5 feetのエリアは建設することはできません。
その他詳しいことは下図をご覧下さい。太線のところが建設可能エリアになります。


斜面における建物のセットバックと高さ制限の図(立面
この30 feetの制限を利用して、実は3階建ての住宅を建設することが可能です。
平地の25 feetの高さ制限では不可能ですが、
段々畑のようにずらしながら建設することで建設可能エリアにおさめることができます。

通常かなりの量の土を取り除いたり、
足したりする必要があるため、建設コストは割高になります。
ただ、ハワイにおいて斜面の敷地といいますと、山沿いがほとんどだと思います。
山から海を見下ろすような絶景が望める場合には、
上記のような建設方法をすることで、
各階から海が望めるようになり多少割高でも投資する価値は大いにあると思います。


ただ、敷地の広さや傾斜角度によっては難しい場合もありますので、
詳しくはお問い合わせ下さい。

日刊サン 2016年6月29日掲載


2017年3月29日水曜日

日刊サンコラム29:セットバックについて

日本の建築基準法では、道路斜線・日陰斜線と呼ばれるものがあり、
敷地ギリギリまで高い建物を建てることが制限されています。
なので、道路から離れるごとに段々と高くなる建物がとても多いのが特徴です。
今度日本へ訪れる際には少し気にしてみてみるとおもしろいかもしれません。

ハワイでも似たような制限があり、特に住宅地においては、
敷地いっぱいに建物を建設することは禁じられています。
それをセットバックと呼びます。
今回は主に住宅地で適用されるセットバックについてご紹介致します。

住宅地では必ずセットバックが必要

住宅地はResidential Zoningと呼ばれます。
この地域では、道路に面する場所では最低10 feet(約3m)の
セットバックが必要となります。
その他の敷地境界線でも最低5 feet (約1.5m)のセットバックが必要となり、
敷地ギリギリに住宅を建設することは禁じられています。

また、高さ制限は最大25 feet(約7.6m)となっています。
下図では、太線で囲われている部分が建築可能なエリアとなっています。

Building Setback
建物のセットバックと高さ制限の図(立面)

図をご覧頂けるとわかる通り、上記以外にも傾きが1:2の斜線規制があるため、
特に二階建て住宅を建てる際には注意が必要です。

建築可能エリア外で認められているもの

住宅は、もちろん建築可能エリア内に収める必要がありますが、
はみ出すことが認められているものがいくつかあります。

例えば、フェンスや擁壁(Retaining Wall)は、
敷地境界線ギリギリに建設することが認められています。
ドライブウェイももちろん隣接している道路まで
延長されている必要があるため大丈夫です。
また、住宅の屋根も2.5 feet (約76cm)までであれば、
このエリアからはみ出すことが認められています。

上記以外にも住宅には述べ床面積の制限等、様々な制限がありますが、
それは次回以降ご紹介したいと思います。

また、住宅地以外のゾーニングでは
異なるセットバックのルールが適応されますので注意が必要です。
ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

日刊サン 2016年6月22日掲載

2017年3月1日水曜日

日刊サンコラム28:建築許可にかかる時間

建築工事をする際、事前に建築許可を得る必要があります。
今回はどのような時に建築許可が必要なのか、必要な費用、
かかる時間についてご紹介していきます。

建築許可が必要な工事とは


カーペットをフローリングにしたり、外壁や屋根の修繕をする時、
建物の補修や仕上げのやり直しだけであれば建築許可は必要ありません。
建築許可が必要になってくるのは、
上記以外のケースはほぼすべてといえるでしょう。

壁を新たに追加したり、解体する場合や外にデッキを建設する場合、
また外構にフェンスを建てるだけでも
ほとんどのケースで許可を申請しなければいけません。
それは建物の種類は問わず、あらゆる建築物に該当されます。
一戸建ての住宅はもちろん、レストラン等の商業施設、
アパートやコンドミニアムの一室の改築であっても
許可なく工事をすることは違法行為となるので注意が必要です。

申請方法・費用


建築許可を申請するには、建築士もしくは構造設計士が描いた
施行図面(Construction Drawings)が必要となります。

よって、何らかの工事をしたい場合には、
1.建築士を探す 
2.デザインをしてもらい、図面を揃える 
3.建築許可の申請 
4.申請している間に工務店を探して見積もりを出してもらう 
5.建築許可がおりれば工事着工 

といった流れが最も一般的になりますが、
上記以外の方法もありますので、興味のある方はお問い合わせ下さい。

また、建築許可の申請料は工費によって変動し、
プロジェクトの規模に比例します。
例えば、$100,000の工費ですと、申請料が$1,560で審査料$312となります。

申請にかかる時間


建築許可にはものすごく時間がかかります。
2016年6月現在で改築の申請をする場合に4~6ヶ月、
新築であれば9ヶ月以上かかっています。
よって、早め早めに計画を始めることがとても大切になります。

ただ、どうしても早く工事をしたい場合があると思います。
リース契約で許可を待っている間にも多額の家賃が発生してしまう場合や、
住宅であれば建つまでどこかで賃貸物件を借り続けなければならない等、
様々な事情があります。
そういった場合には、ホノルル市に直接申請するのではなく、
市に認められた第三者機関に依頼し、
早く許可を得ることも可能です。
$4,000以上もの余計な支出が増えてしまいますが、
大体1~2ヶ月程度で許可を得ることができるようになるので、
期間が短くなった分どれほど節約できるのか天秤にかけてみると良いでしょう。

日刊サン 2016年6月8日掲載


2017年2月15日水曜日

日刊サンコラム27:住宅の一部を賃貸する方法

近年のハワイにおける不動産の価値高騰には目を見張るものがあります。
ホノルルで売買されている一軒家のMedian(中央値)は$700,000を超えており、
地元の労働者階級にはとても購入することが難しい現状です。
住宅の不足及び価格高騰の対処として、
2015年9月に新しい法律が施行されました。
ACCESSORY DWELLING UNIT (ADU)というもので、
今回はその制度についてご紹介します。

住宅の一部を賃貸することができる


一軒家の離れや、ベッドルームとバスルームのみを
賃貸している広告などを見たことがありませんか?
丸々一軒家を賃貸しない限り、
実は、これらは去年まで法律で禁じられていました。

一軒家には、あくまで一家族が住むことが想定されており、
分割してその一部を収益目的で賃貸することはできませんでした。
今回施行された法律で、部分的に賃貸をすることが合法化されたため、
今までこっそりと貸していた人、これから副収入を得ようとする人、
また、安く賃貸住宅をかりようとするにはとてもメリットが大きいでしょう。

賃貸するにあたっての様々な規制


法整備されたということは、それに伴って様々な規制がしかれます。
まず一つに、その住宅には原則として所有者、
もしくはその血縁者が住んでいる必要があります。
よってすでに他人に貸している賃貸物件を
さらに分割して他の人に貸すといったことはできません。
例外として、所有者が予期せぬ苦難(例:難病にかかった)
にあったときのみ許されます。

また、所有者であれば、ADUとして制定された部分に自らが住み、
母屋を貸し出すこともできます。
子供たちが巣立った後、老後はADUでこじんまりと生活しつつ、
大きな副収入を得る方法も有意義かもしれません。
ただ、どのような賃貸でも良いわけではなく、
賃貸期間は6ヶ月以上と決められているので、
バケーションレンタル用には貸し出すことはできません。
その他、ゾーニングや最大面積、駐車スペースの規制がありますが、
この新しい法律の主な目的はホノルルの賃貸住宅の絶対数を増やすことが
目的となっていますので、ほとんどの一軒家で適用可能となります。

もし、ご興味がおありでしたらお気軽にお問い合わせ下さい。

日刊サン 2016年5月25日掲載



2017年2月9日木曜日

日刊サンコラム26:特別区域について6-パンチボール編

ここ数週間に渡り、特別区域(Special Districts)についてご紹介しております。
特別区域とは都市計画の一環です。
利用者にとって快適かつ便利な街並みを推奨したり、
歴史や文化を継承させたり、色やデザインについて制限をかけ、
街全体に統一感を出したりすることで街全体の価値をあげることを目的としています。

ハワイには8つの特別区域が制定されており、
今回はパンチボール地区についてお話しさせていただきます。

パンチボール特別区域

Punchbowl

行かれたことのある方も多いかと思いますが、
パンチボールは国立太平洋記念墓地として、
ホノルルの観光名所の一つです。

広大なクレーター内が国立墓地となっており、
第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、
ベトナム戦争などで戦死した3万人以上の兵士が安らか眠っています。
この特別区域は、今現在持っている特徴・雰囲気を維持することを目的としています。
自然溢れる近隣を守り、パンチボールからの景観、
またはパンチボールへの景観を損なうようなことを規制しています。

建物の向きや高さに対する制限


近隣の主要道路からパンチボールがよく見えるように、
また、パンチボールから遠くまで見晴らせるように、
建物が視界を遮らないよう配慮し、パンチボールを海側から見たときに、
その視線と平行な向きにする必要があります。(下図参照)


また、主要な道路からパンチボールがキレイに見えるように
建物の高さ制限も斜めにひかれています。
高台になっているProspect St沿いは40 feetの高さまでしか建てることができず、
それより下の方だともう少し高くまで建設することが許されています。


このように特定の景観を守るための高さ制限というのは、
実は非常に珍しいことなのです。
ただ、こちらの規制が発令したのは大分遅く、
すでにパンチボール付近には高層の建物が建ってしまっているのがとても残念ですね。
それらの既存の建物は当然取り壊すわけにはいかないので
現状維持を許されていますが、
今後同規模の建物に建て直すことは許可されません。

よって、建物の耐用年数が超える数十年後、
パンチボールの景観がどのように改善していくのか楽しみですね。

日刊サン 2016年5月11日掲載


2017年2月6日月曜日

日刊サンコラム25:特別区域について5-ハレイワ編

ここ数週間に渡り、特別区域(Special Districts)についてご紹介しております。
特別区域とは都市計画の一環です。
利用者にとって快適かつ便利な街並みを推奨したり、
歴史や文化を継承させたり、色やデザインについて制限をかけ、
街全体に統一感を出したりすることで街全体の価値をあげることを目的としています。

ハワイには8つの特別区域が制定されており、
今回はノースショアのハレイワ地区についてお話しさせていただきます。


ハレイワ特別区域


今ではオアフ島の主要な観光スポットの一つとなっているハレイワ地区ですが、
1800年代後半にプランテーションの街として
ハワイ史においても重要な役割を担っていた場所でもあります。
当時の景観を守るために、地域の建造物には高さ制限やデザインの指定など様々な規制があります。

ハレイワのお店



現状維持が原則


具体的な規制内容は色々と細かく分かれており複雑ですが、
根本的には出来る限り現状維持に努め、
新たな建物も既存のものと似たようなデザインにしようといったものです。

いくら地主が現代建築を建設したくても、実現することは不可能です。
ファサードデザインや建材、色、看板まで、
多岐に渡って既存の街並みから浮かないように規制されています。

また、ハレイワ地区はのどかな田舎であり、
そののどかさもまた重要な特徴の一つと捉えられているため、
過度な発展も望ましくないとされています。
その関係も含め、建ぺい率は低く、
高さ制限も30フィート(約9メートル)までと商業地区としてはかなり低く設定されています。
ただ、その甲斐あってかどの建物も小規模で可愛らしいデザインが魅力的で、
ノスタルジックな雰囲気の漂う人気観光地として維持し続けられるのだと思います。


最後に、
熊本地震の被害に遭われた被災地の皆様やご家族の方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、
犠牲になられた方々とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
一日も早い平穏な日々の訪れと被災地の復興・復旧を心よりお祈り申し上げます。

日刊サン 2016年4月27日掲載


2016年8月9日火曜日

日刊サンコラム24:特別区域について4-チャイナタウン編

ここ数週間に渡り、特別区域(Special Districts)についてご紹介しております。
特別区域とは都市計画の一環です。
利用者にとって快適かつ便利な街並みを推奨したり、
歴史や文化を継承させたり、色やデザインについて制限をかけ、
街全体に統一感を出したりすることで街全体の価値をあげることを目的としています。

ハワイには8つの特別区域が制定されており、
今回はチャイナタウン地区についてお話しさせていただきます。

チャイナタウン特別区域

チャイナタウン

チャイナタウンに遊びに行ったことのある方は多いかと思いますが、
独特な雰囲気がある地域です。
歴史的な低層建築が立ち並び、様々な用途(リテール、オフィス、住宅)の建築物が
密集しているこの特別区域は、これらの特徴を尊重し、守る役割をしっかり果たしています。

歴史的な外観を守ることで、文化を継承していき、
歩行者をより優先していくことで活気のある街づくりをしていこうという意図が
この特別区域には込められているのです。

細かな規制内容


チャイナタウンは8つの特別区域の中で、
実は一番規制が厳しく、ややこしいかもしれません。

歴史的建物が多いため、保護を推奨しているわけですが、
保護対象が三段階に分かれており、個々の建物ごとに異なります。
個々の建物ごとに改築・増築における制限が違うので注意が必要です。

また、様々なデザイン規制があり、
建物正面(ファサード)におけるオーナメントやキャノピーのデザイン、
建材、ドアや窓の種類、色の指定まで定められています。

シンプルなデザインはモダンな雰囲気をかもし出すため、
凝ったディテールの外観にする必要があります。

看板も1940年代を彷彿させるようなデザインが推奨されています。

その他、少し変わった規制としては、
セットバック(道路と建物の間の距離)をとることを禁止していることです。
つまり、建物は敷地境界線ギリギリに建てなければなりません。
そうすることで、すべての建物を歩道沿いにキレイに整列させることができ、美しい街並みになります。

日本でも、銀座は同様な都市計画を施行し、とても整った世界に誇れる街となりました。
銀座の街並み


まだまだこの特別区域が制定されて年数が浅く、改善の余地は多々ありますが、
今後のチャイナタウンの発展を期待しましょう!

日刊サン 2016年4月13日掲載